App StoreはApple社製のデバイスに向けたアプリケーションを配布するプラットフォームです。非常に多くのアプリが集められており、アプリについてのランキングやレビューは、アプリケーション開発者やWebコンテンツ作成者にとって利用価値の高いデータといえます。
App Storeの情報を集める効率的な手法として、スクレイピングの利用が挙げられます。本記事では、ローコードスクレイピングツールOctoparseを利用したApp Storeのレビュー情報取得について紹介します。
1.App Storeとは
App StoreはApple社が運営するアプリ配信プラットフォームです。iPhoneやiOS、macなどのApple社の端末を保有する人は、端末で利用できるアプリケーションを入手することが可能です。一部のアプリケーションは有料のため購入やサブスクリプションサービスへの加入が必要となります。また、アプリ以外にも音楽や動画コンテンツも配信しています（iTunes）。
App Storeそのものはインターネットを介して通信を行うアプリケーションです。利用者のアプリの利用動向やApp Storeでの人気などを考慮してアプリをリコメンドしてくれます。
レビューを行うと、App Store内にレビュー内容が反映されます。また、App Storeのレビューにはアプリを利用しているユーザの生の声が記載されており、貴重な意見を汲み取ることができます。
これはアプリケーション開発者やサービス提供者にとって大きなビジネスチャンスといえます。
2.App Storeのデータを活用できる
App Storeでは配信しているアプリに関して、様々な情報を持っています。例えば、配信しているアプリをジャンル別に分けてランキング付けして管理しています。この人気などの情報はデータとしてビジネスに活用可能です。また、アプリのレビュー情報についてもApp Storeに掲載されており、こちらもユーザのリアルな意見が取得できる有用なデータとなります。App Storeのレビューとして収集できる情報は下記です。
| 対象 | アプリ（音楽、コンテンツ（動画））のレビュー |
| データ種別 | レビュー |
| 利用用途 | 市場調査、統計調査、アプリ開発の傾向調査など |
| 取得可能項目 | ユーザ名（レビュー実施者）、投稿日時、タイトル、レビュー本文など |
特にアプリケーション開発やサービス提供をビジネスとして行う場合には、App Storeのレビュー情報は市場動向を示す重要なデータとなります。また、これらの情報を集めて整理することでWebコンテンツとしても有効に活用可能です。
3.データ収集の方法は？
App Storeのレビューのデータを収集するためには、どのような方法をとることができるでしょうか。
App Storeを自分で見て手作業で情報収集
iPhoneやiPad、MacなどのApple製の端末を用意し、App Storeをインストールしましょう。後は大量のコスト（時間、人手）をかけて、App Store内を見回れば、掲載されているレビューのデータを収集可能です。とても多くの、コストがかかってしまうため、一度切りの調査以外ではあまりお勧めできません。
まとめサイトなどを利用した情報収集
Apple向けのアプリについての情報をまとめたWebサイトも存在します。これらを活用することも一つの方法です。
しかし、これらのWebサイトの情報をもとにデータを利用するのはあまりお勧めできません。データが誤っているというわけではありません。Webサイトの運営者の意図がデータに紛れ込んでいることなどの問題があるためです。
Webサイトの運営者は何らかのメリットがあってWebサイトを運営しています。広告による利益やWebサイト上の集客を別のサイト上に誘導するなどの意図が存在しているため、アプリの選択は恣意的な情報となっています。
これらのWebサイトからは新たで独自の知見を見つけるのが難しいということも問題の一つです。自分で情報を得るための条件を設定することもできないため、Webサイトの作成者の考えに沿ったデータしか手に入らないのです。
さらに情報が最新ではありません。記事の作成日時から時間は経過していき、情報の鮮度は下がっていくため、ビジネスで活用する場合には問題となります。
スクレイピングによるデータ収集
手作業やまとめサイトを使った場合の問題点を解決する方法の一つに、スクレイピング（Webクローリング）を利用したデータ収集があります。スクレイピングとは、ソフトウェアによりインターネット上から情報を収集する技術です。
スクレイピングを行うには、いくつかの選択肢があります。スクレイピングを行うプログラムを作成するのも方法の一つです。また、スクレイピングツールと呼ばれるソフトウェアを活用する方法もあります。
App Storeからの情報もインターネット上に存在するため、スクレイピングにより収集する方法は一つの有望な選択肢です。
スクレイピングのメリット
スクレイピングはソフトウェアによってインターネット上から情報を抽出します。一定の条件を設定することで、インターネット上の様々なURLから情報を自動的に取得することが可能です。
より具体的には、下記のメリットがあります。
- コンピュータが実施するため、人間の作業は最少
- スクレイピング実施時の最新の情報が収集できる
- データを活用しやすく加工することが可能
- 必要な情報に絞って、効率的にデータ収集可能
- 一度条件の設定を行えば、繰り返しのデータ収集が可能
※スクレイピングの対象となるサービスやWebサイトによっては、スクレイピングなどによるデータの取得を制限している場合があります。実施可否は規約などで確認してください。
4.OctoparseでApp Storeからレビューのデータを取得
スクレイピングによるデータ収集にむけて、すぐに利用開始できるOctoparseを紹介します。
スクレイピングツール「Octoparse」の紹介
Octoparseはローコードスクレイピングツールです。プログラムを作成することなく、誰でも簡単にスクレイピングを実施することができます。
「コストをかけずに有効なデータを収集したい。でも、スクレイピングやプログラムの知識はない」という方でも取り組みやすいツールとなっています。
レビューデータ抽出の操作手順
それでは、実際にOctoparseを使ってApp Storeからレビューのデータを抽出してみましょう。
Step1 Octoparseのダウンロードとインストール、アカウントの作成
はじめにOctoparseを利用するための準備を行います。ご利用環境に合わせてWindowsまたはmacOS版を選択してインストールすればOKです。
公式ページのログインより新規アカウントの作成を行います。Googleのアカウントなどでもログイン可能です。
※本記事ではWindows版を利用しています。
Step2 テンプレートの採用とスクレイピングの設定
Octoparseを起動します。起動後の画面はこのような感じです。
よくスクレイピングの対象となるサイトやサービスについてはテンプレートが用意されています。テンプレートにはスクレイピングを行うための設定があらかじめ用意されています。細かな設定は後から変更が可能です。
早速、テンプレートを利用してApp Storeからレビューをスクレイピングする設定を行います。
「App Store」で検索を行うとテンプレートが表示されました。今回は「[JP]アプリレビュー_Apple Store」を利用します。
「今すぐ試す」から実行可能です。繰り返し利用する場合には、お気に入りに登録しておきましょう。
Step3 スクレイピングの実施
今回利用するアプリレビューのテンプレートは利用時に準備が必要です。レビューを取得するアプリのIDをApp StoreのWebサイトから取得してきます。準備といっても難しいものではないため身構える必要はありません。
App Storeには下記のURLからアクセスできます。
https://www.apple.com/jp/app-store/
App Store内で調査対象のアプリを探しましょう。キーワード入力などでアプリを探すことができます。見つけたらアプリのページを参照してみます。
その際にURLを見るとアプリのIDが記載されています。id以降の数字の並びがアプリのIDです。YoutubeのアプリIDは「544007664」となります。
このアプリのIDが取得出来たら、あとはURLの文字列を編集します。といっても難しいことはなく、下の文字列の「ここはID」となっている部分を先ほど取得したアプリのIDに編集すればOKです。
| https://itunes.apple.com/rss/customerreviews/page=1/id=ここはID/sortby=mostrecent/json?l=en&&cc=jp |
なお、レビューが複数ページあるアプリの場合は「page=1」の部分を編集し、複数行分のレビューを一度でスクレイピングすることが可能です。Youtubeのレビュー1-10ページ目までを作成する場合には、Octoparseの「[JP]アプリレビュー_Apple Store」への入力キーワードは下記となります。
※詳細については、Octoparse内の「[JP]アプリレビュー_Apple Store」の詳細欄もご参照ください。
| https://itunes.apple.com/rss/customerreviews/page=1/id=544007664/sortby=mostrecent/json?l=en&&cc=jphttps://itunes.apple.com/rss/customerreviews/page=2/id=544007664/sortby=mostrecent/json?l=en&&cc=jphttps://itunes.apple.com/rss/customerreviews/page=3/id=544007664/sortby=mostrecent/json?l=en&&cc=jphttps://itunes.apple.com/rss/customerreviews/page=4/id=544007664/sortby=mostrecent/json?l=en&&cc=jphttps://itunes.apple.com/rss/customerreviews/page=5/id=544007664/sortby=mostrecent/json?l=en&&cc=jphttps://itunes.apple.com/rss/customerreviews/page=6/id=544007664/sortby=mostrecent/json?l=en&&cc=jphttps://itunes.apple.com/rss/customerreviews/page=7/id=544007664/sortby=mostrecent/json?l=en&&cc=jphttps://itunes.apple.com/rss/customerreviews/page=8/id=544007664/sortby=mostrecent/json?l=en&&cc=jphttps://itunes.apple.com/rss/customerreviews/page=9/id=544007664/sortby=mostrecent/json?l=en&&cc=jphttps://itunes.apple.com/rss/customerreviews/page=10/id=544007664/sortby=mostrecent/json?l=en&&cc=jp |
Octoparseのテンプレートギャラリーから「今すぐ試す」を選び、キーワードの入力画面を表示します。上記で編集した情報を張り付けて、「保存実行」をクリックします。
その後、タスク実行画面が表示されます。クラウド抽出の通常モードのみ利用できます。ボタンをクリックするとスクレイピングが始まります。
結果表示のウィンドウが立ち上がりますので、そちらから結果を取得しましょう。データ詳細から結果を参照することができます。結果のデータはエクスポート機能によりExcelやCSVでも取得することができます。
まとめ
App StoreではApple社製品向けのアプリケーションを配信しています。Apple社製品向けのあらゆるアプリケーションが集められており、アプリケーション開発等のビジネスでは非常に重要な情報が集まっています。
その一例となるのが、アプリのレビューです。ユーザのアプリケーションに対する素直な意見を参照できるため、非常に役立つコンテンツといえます。
App Store上のレビューを取得する方法として、スクレイピングの活用があります。ノーコードスクレイピングツールOctoparseでは、App Storeのレビュー取得のためのテンプレートを用意しており、簡単にデータが取得できます。ぜひ、試してみてください。
