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わかりやすいクラウド入門:サービスの特徴と活用事例を紹介

約6分で読めます

最近よく耳にする「クラウド」という言葉ですが、具体的に何を指しているのか、どのようなメリットがあるのかをご存知でしょうか?クラウドは、インターネットを通じてデータやアプリケーションを利用できる技術を指し、日常生活やビジネスにおいて、ますます重要になっています。

本記事では、クラウドの基本的な概念や種類、メリットとデメリット、そして具体的な活用事例を初心者向けにわかりやすく解説します。クラウドについて知りたい方や、初めてクラウドを利用する方にとって、役立つ情報をお届けします。

クラウド(クラウド・コンピューティング)とは?

クラウドとは、インターネット上で提供されるサービスの総称です。たとえば、インターネットで情報収集をする際に、Googleの検索エンジンやX(Twitter)などのSNSを利用する方も多いでしょう。iPhoneで撮影した写真をMacやiPadからも見ることができますし、PCで編集したYoutube動画をスマホから見ることもできます。

これらはすべてクラウド・コンピューティングを利用しています。代表的なクラウドサービスには次のようなものがあります。

種類概要具体的なサービス名
オンラインストレージファイルの保存や共有が簡単に行えるサービス。Dropbox、Google Drive、iCloud
オフィススイートオフィスアプリケーションをオンラインで利用できるサービス。Microsoft 365、Google Workspace、Zoho Office Suite
チャットツールチーム内のメッセージングやファイル共有が簡単に行えるサービス。Slack、Chatwork、Microsoft Teams
CRM(顧客関係管理)営業やマーケティングの効率化を支援するクラウドベースのシステム。Salesforce、HubSpot、Zoho CRM
プロジェクト管理ツールタスク管理やプロジェクト管理を効率的に行えるサービス。Trello、Asana、Monday.com
ビデオ会議オンラインでのビデオ会議やウェビナーを提供するサービス。Zoom、Google Meet、Cisco Webex
電子メールサービスクラウドベースの電子メールサービス。Gmail、Microsoft Outlook、Yahoo Mail
マーケティング自動化マーケティング活動を自動化し、効率化するサービス。Mailchimp、Marketo、Pardot

クラウドの仕組み

クラウドサービスは、インターネットを通じて提供される便利な技術です。しかし、その仕組みは実際には多くの「サーバー」によって支えられています。サーバーとは、簡単にいえばCPUやメモリ、ストレージといったアプリケーションが動作するために必要な機器のことです。

普段、アプリケーションを動かすためには、物理的なサーバーが必要です。例えば、自分のパソコンでアプリを動かしている場合、そのアプリはパソコンのリソース(CPUやメモリなど)を使っています。クラウドも同じ原理で、サービス提供者が持っているサーバーのリソースを使ってアプリケーションが動いています。

クラウドサービスは、サービス提供者が管理する大量のサーバー上でアプリケーションを動かし、それをインターネット経由でユーザーに提供することで成り立っています。ユーザーは自分のパソコンやスマートフォンからインターネットを通じてクラウドにアクセスし、サービスを利用します。

つまり、クラウドサービスはインターネットという仮想空間に存在しているように見えますが、その裏では実際の物理的なサーバーが動作しています。このサーバーが、クラウドサービスを支えているのです。

クラウドの種類

クラウドサービスにはいくつかの種類があり、それぞれに特徴と具体的なサービスがあります。以下に、代表的なクラウドの種類を詳しく説明します。

SaaS(サース)

SaaS(Software as a Service)は、インターネットを通じてソフトウェアを提供するサービスです。ユーザーはソフトウェアをインストールする必要がなく、インターネット接続さえあれば、どこからでも利用できます。例えば、GmailのようなウェブメールサービスやGoogleドキュメントのようなオンラインオフィスツールがこれに該当します。

<代表的なサービス>

  • Microsoft 365:WordやExcelなどのオフィスソフトをオンラインで利用できます。
  • Google Workspace:Googleドキュメントやスプレッドシートを含むオフィススイートです。
  • Dropbox:オンラインストレージサービスで、ファイルの保存や共有が簡単に行えます。

PaaS(パース)

PaaS(Platform as a Service)は、アプリケーションを開発・運用するためのプラットフォームを提供するサービスです。開発者はサーバーやインフラの管理を気にせずに、アプリケーションの開発に集中できます。開発環境、データベース、ミドルウェアなど、必要なリソースがすべて提供されます。

<代表的なサービス>

  • Google App Engine:Googleが提供するアプリケーション開発プラットフォームです。
  • Microsoft Azure:マイクロソフトが提供するクラウドプラットフォームで、さまざまな開発ツールやデータベースサービスを提供します。
  • AWS Elastic Beanstalk:Amazonが提供するPaaSで、アプリケーションのデプロイと管理を簡単に行えます。

IaaS(イアース/アイアース)

IaaS(Infrastructure as a Service)は、仮想化されたコンピューティングリソースを提供するサービスです。ユーザーは、サーバー、ストレージ、ネットワークといったインフラを必要に応じて利用できます。これにより、初期投資を抑えつつ、スケーラブルなインフラを利用できます。

<代表的なサービス>

  • Amazon Web Services (AWS):仮想サーバー、データベース、ストレージ、ネットワーキングなど幅広いサービスを提供します。
  • Microsoft Azure:仮想マシン、データストレージ、ネットワーク機能などを含む多様なクラウドサービスを提供します。
  • Google Cloud Platform (GCP):仮想マシンやデータベース、AIツールなどを提供し、スケーラブルなインフラを提供します。

クラウドを利用するメリット

クラウドは個人か法人かに関わらず利用するメリットがあります。ここでは、そのメリットを1つずつ解説していきます。

初期費用が安い

法人が新しいアプリケーションを開発・導入する際は、前述したサーバーが必要です。クラウドが登場する以前はサーバーを購入するしかありませんでしたが、クラウドがある今ではインターネット上でサーバー(厳密に言えばサーバーのリソースのみ)を調達できます。

そのためサーバー購入が不要になり、初期費用を抑えられます。

拡張性・可用性が高い

物理的なサーバーのリソースを拡張するには、新しいサーバー購入が必要です。そのため、拡張性が低く環境変化に対して柔軟に対応できません。一方、クラウドは管理画面からリソースを自由に増減できるため、拡張性が高いメリットがあります。

また、可用性(サーバー障害で停止されることなく稼働し続けること)も高く、アプリケーション性能を安定させられます。

利用する場所を選ばない

クラウドはインターネット上で利用できるサービスなので、利用者は特定の場所にいる必要はありません。異なる端末からでもID・パスワードを使って自由にアクセスできるため、サービスを利用する場所を選ばなくなります。

近年導入が進むリモートワークやモバイルワークといった働き方には、クラウドが欠かせません。

セキュリティ強化になる

完璧なセキュリティ対策を実施しようとすれば、多額のコストがかかります。だからといって情報漏えいなどのリスクをゼロにできるわけではありません。そこで、クラウドをうまく利用するのがおすすめです。

有名なクラウドには世界最高水準のセキュリティ対策が実施されているため、利用する個人・法人によってはセキュリティ強化になります。

災害対策(BCP)ができる

地震などの自然災害や火災により、社内サーバーが被害を受けてアプリケーションや保存されたデータが消失するリスクは、どの企業にもあります。しかし、クラウドを利用していればアプリケーションもデータも手元にはないため、災害対策(BCP)になります。

多くのクラウドは堅牢なデータセンターにてサービスが運用されているので、大地震などの自然災害でも耐えられる可能性が高いのです。

クラウドを利用するデメリット

メリットの多いクラウドですが、利用することでデメリットが生まれることもあります。ここでは、クラウドのデメリットについて解説します。

カスタマイズ性が低い

社内にサーバーを設置して、その上でアプリケーションを開発したり動作させたりすることを「オンプレミス」と呼びます。オンプレミスのメリットは、カスタマイズ性が高く企業独自の要件に合わせた開発・動作ができることです。

一方、クラウドはあくまでサービスとして提供されているため、サービス事業者が規定した範囲内でしかカスタマイズができません。オンプレミスに比べるとカスタマイズ性が低いため、企業によってはこれがデメリットとして際立つケースがあります。

自社システムとの連携が難しい場合がある

カスタマイズ性の低いクラウドは既存の自社システムとの連携が難しい場合があるため、事前のシミュレーションが欠かせません。

ただし、「アプリケーションを自社開発している場合」と「特定のメーカー製品で揃えている場合」を除いては、オンプレミスでも連携が難しいケースがあるため、クラウドだけのデメリットとは言えません。

近年のクラウドには、データや機能を簡易的に連携させるための「API」というプログラムが豊富に提供されているので、システム環境によってはクラウドの方が連携性が高くなるケースもあります。

インターネット環境に依存する

インターネット経由でサービスを利用できるのはクラウドのメリットですが、デメリットでもあります。良くも悪くもインターネット環境に依存しているため、インターネット回線が不安定だとアプリケーションのパフォーマンスが低下する恐れがあります。

これを回避するためには、十分なパフォーマンスを発揮できるかどうか、自社の回線チェックと必要に応じた帯域拡張を検討しましょう。

クラウド活用の具体例(クラウドサービス)

クラウドサービスはさまざまな分野で活用されています。ここでは、読者が身近に感じられる具体的なクラウドサービスの活用事例をいくつか紹介します。

データストレージとバックアップ

クラウドストレージサービスは、データの保存やバックアップに広く利用されています。例えば、Googleドライブはスマートフォンで撮った写真を自動的にバックアップし、Dropboxはプロジェクトのファイルをチームメンバーと簡単に共有できます。iCloudはApple製品との連携が強力で、写真やビデオを安全に保存し、すべてのAppleデバイスからアクセス可能です。

オンラインオフィス

SaaS(Software as a Service)は、インターネットを通じてソフトウェアを提供するサービスです。Microsoft 365では、WordやExcelをオンラインで利用でき、外出先でも仕事ができます。Google Workspaceも同様に、ドキュメント作成やスプレッドシートの共同編集が可能です。これにより、リモートワークでも円滑に業務を進めることができます。

コミュニケーションツール

クラウドベースのコミュニケーションツールは、チーム内のやり取りをスムーズにします。Slackでは、プロジェクトごとにチャンネルを作成し、リアルタイムでチームメンバーとやり取りができます。Zoomはオンライン会議ツールとして広く利用されており、リモート会議やウェビナーを簡単に開催できます。Microsoft Teamsも、チャットやビデオ会議、ファイル共有が一体化したサービスとして人気です。

開発プラットフォーム

PaaS(Platform as a Service)は、アプリケーションの開発・運用プラットフォームを提供するサービスです。Google App EngineやMicrosoft Azureは、開発者がインフラの管理を意識することなくアプリケーションの開発に集中できる環境を提供します。これにより、開発スピードが向上し、リソースの効率的な利用が可能になります。

インフラストラクチャサービス

IaaS(Infrastructure as a Service)は、仮想化されたコンピューティングリソースを提供するサービスです。Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft AzureのIaaSサービスを利用することで、企業は必要な時に必要なだけのリソースを利用でき、インフラのスケールアップやスケールダウンが容易に行えます。初期投資を抑えることができ、効率の高さがメリットです。

クラウドサービスを活用したデータ収集手法

クラウドサービスを利用することで、データの収集と分析が効率的に行えます。ここでは、クラウドでのデータ収集手法について詳しく解説します。

データベースサービスの活用

クラウドデータベースサービスを利用することで、大量のデータを簡単に収集・管理することができます。Amazon RDSやGoogle Cloud SQLなどのサービスは、スケーラブルで高性能なデータベース環境を提供し、データの自動バックアップやリカバリもサポートしています。これにより、データの信頼性と可用性が向上します。

データ統合プラットフォームの活用

データ統合プラットフォームは、複数のデータソースからデータを収集し、一元管理することができます。Microsoft Azure Data FactoryやAWS Glueなどのサービスを利用することで、異なるフォーマットや構造のデータを統合し、リアルタイムでデータを収集・変換できます。これにより、データの一貫性と正確性が確保されます。

IoTデバイスからのデータ収集

IoT(Internet of Things)デバイスを利用することで、リアルタイムでデータを収集することが可能です。クラウドサービスと連携することで、センサーやデバイスから収集されたデータをリアルタイムで分析し、ビジネスに役立つインサイトを得ることができます。AWS IoTやGoogle Cloud IoT Coreなどのサービスは、セキュアでスケーラブルなデータ収集環境を提供します。

ログデータの収集と分析

クラウドサービスを利用することで、アプリケーションやシステムのログデータを効率的に収集・分析することができます。AWS CloudWatchやAzure Monitorなどのサービスを利用することで、ログデータをリアルタイムで監視し、異常検知やパフォーマンスの最適化に役立てることができます。これにより、システムの可用性とパフォーマンスが向上します。

Webスクレイピングツールの活用

Webスクレイピングツールを利用することで、ウェブサイトから必要なデータを自動的に収集することができます。Octoparse(オクトパス)はその代表的なツールの一つで、プログラミングの知識がなくても、直感的な操作でウェブデータを抽出し、クラウドに保存できます。Octoparseを利用することで、大量のウェブデータを効率的に収集し、分析に活用することが可能です。

クラウドを利用する際の注意点

クラウドサービスを利用する際には、いくつかの重要な注意点があります。これらのポイントを理解し、適切に対策を講じることで、クラウドサービスをより安全かつ効果的に利用することができます。

データセキュリティ

クラウドサービスを利用する際には、データのセキュリティ対策が非常に重要です。データがインターネット上でやり取りされるため、適切な対策を講じなければ、情報漏洩のリスクがあります。以下の点に注意しましょう。

  • データ暗号化:データを暗号化することで、万が一データが盗まれても内容が読まれないようにする。
  • アクセス制御:誰がどのデータにアクセスできるかを厳密に管理する。
  • 定期的なセキュリティレビュー:セキュリティ対策を定期的に見直し、最新の脅威に対応する。

また、クラウドプロバイダーのセキュリティ対策も確認し、信頼できるプロバイダーを選択することが重要です。

コスト管理

クラウドサービスは従量課金制であるため、使用量が増えるとコストも増加します。予期せぬリソースの使用増加によってコストが高騰するリスクがあるため、定期的にコストをモニタリングし、予算管理を行うことが必要です。クラウドプロバイダーが提供するコスト管理ツールを活用することで、コストの最適化が可能です。

可用性と信頼性

クラウドサービスの可用性と信頼性も重要な要素です。サービスの停止や障害が発生した場合の影響を最小限に抑えるために、以下の対策が必要です。

  • 冗長化:データを複数の場所に保存し、障害が発生してもデータを失わないようにする。
  • バックアップ:定期的にデータのバックアップを行い、万が一の際に迅速に復元できるようにする。
  • SLAの確認:SLA(Service Level Agreement)とは、サービスのレベルに関するサービス品質保証のこと。必要な可用性を保証しているかどうかを確認する。

法規制とコンプライアンス

クラウドサービスを利用する際には、データの保存場所や取り扱いに関する法規制やコンプライアンスを遵守する必要があります。特に、個人情報や機密情報を扱う場合には、適用される法規制を確認し、適切な措置を講じることが必要です。クラウドプロバイダーが提供するコンプライアンスサポートを活用することで、法規制の遵守を容易にすることができます。

ID・パスワードの管理

クラウドを利用する際に最も注意すべき点の一つは「ID・パスワードの流出」です。クラウドは利用者が作成したID・パスワードを使ってアクセスします。以下のポイントを意識して、ID・パスワードの管理を徹底しましょう。

  • 同じID・パスワードを使い回さない: 異なるサービスごとに異なるパスワードを使用する。
  • ID・パスワードが書かれたメモをデスクに置かない: 紙に書いたパスワードを無造作に放置しない。
  • 複雑なパスワードを作る: 生成ツールを使って複雑なパスワードを作成する。
  • パスワードは定期的に変更する: 最低6ヶ月ごとにパスワードを変更する。

まとめ

クラウドコンピューティングは、現代のビジネスや生活において欠かせない技術です。総務省が発表した「令和4年版 情報通信白書」によれば、クラウドを利用している企業はすでに70%を超えています。

クラウドサービスを利用することで、コスト削減やスケーラビリティの向上、高度なセキュリティなど、多くのメリットがあります。一方で、セキュリティ対策やコスト管理、法規制への対応など、注意が必要な点もあります。

クラウドサービスを最大限に活用するためには、メリットとデメリットを理解し、適切な対策を講じることが重要です。クラウドの導入を検討している方や、既に利用している方も、本記事を参考にして、効果的にクラウドサービスを活用してください。

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