情報収集の際にGoogle検索は一般的になりました。しかし、検索結果に表示された大量のデータを手作業で収集するのは非効率的です。そこで、役立つのが「スクレイピング」です。スクレイピングを活用することで、ウェブサイトから自動的に情報を抽出し、時間を節約することが可能です。
本記事では、スクレイピングの基礎、Google検索結果の取得方法、及び注意点について解説し、法的リスクを避けつつ効率的に情報収集を行うためのガイドを提供します。
スクレイピングとは?Google検索の取得は違法?
スクレイピングは、Webサイトから情報を自動抽出する技術で、多くの分野でのデータ収集を効率化します。しかし、インターネット上の情報を自動で取得することに違法性がないか不安に感じる方も多いでしょう。ここでは、スクレイピングの基本から違法性について解説します。
スクレイピングとは
スクレイピングは、Webサイト等で公開されている情報の中から、特定の情報だけを抽出するコンピューターソフトウェア技術です。この技術により、大量のデータから不要な情報を除外し、必要な情報だけを効率的に収集できます。
例えば、スクレイピングを活用することで、ブログのタイトルとURLの抽出、株価の収集、ネットオークションでの価格変動の追跡など、あらゆる情報の自動収集が可能です。
スクレイピング自体は違法ではない
スクレイピング自体に違法性はありません。Webサイトに公開されている情報を対象としており、極秘情報を不正に取得しているわけではないためです。
スクレイピングは、特定の情報を効率的に取得するための手段として使用され、実際に手作業で情報を収集する行為と同等とみなされます。実際に、スクレイピングは政府統計でも利用されています。
参照:消費者物価指数(CPI)へのウェブスクレイピングの活用について
Google検索のスクレイピングは規約違反になる
スクレイピング自体に違法性はありませんが、Googleでは利用規約で検索結果のスクレイピングを禁止しています。Googleは、検索結果ページやその他のプロパティをスクレイピングする行為を禁止しており、スクレイピングされたデータをサードパーティから購入することも禁じています。
このため、Google検索結果をスクレイピングする代わりに、Googleが提供する「Google Custom Search API」の利用が推奨されます。
Google検索結果を取得する方法
Google検索結果を取得するには、規約違反のリスクを避けつつ効率的に情報を収集する方法を選ぶことが重要です。ここでは、Googleが提供する公式APIの活用と、スクレイピングツールを用いた方法について解説します。
Google検索APIの活用
Google Custom Search APIは、Googleの検索結果をJSON形式で取得できるAPIです。このAPIを使用することで、特定のキーワードやドメインに対する検索結果をプログラムを通じて取得することができます。APIの利用は基本的に無料ですが、無料枠には限りがあり、それを超える利用には課金が必要になります。
検索結果を取得する際は、以下の5つのステップで行います。
- APIキーを取得する
- Custom Search APIの有効化する
- Custom Search Engine(CSE)を作成する
- Google API Client Libraries(例:Python)をインストールする
- APIを通じてGoogle検索結果の取得する
ただし、Google Custom Search APIを利用しても、実際のGoogle検索結果とは異なる場合があるため、完全に正確な検索順位を計測することはできません。また、無料枠は1日100クエリまでと限られており、それを超える利用には課金が必要です。無料枠のリセットは太平洋時間の午前0時に行われます。
スクレイピングツールの活用
スクレイピングツールは、Webページから情報を自動で抽出するソフトウェアのことを指します。これらのツールは、特定のWebページにアクセスし、HTMLやCSSの構造を解析して、必要なデータを収集します。市場には、OctoparseやBeautiful Soup、Scrapyなど、さまざまなスクレイピングツールが存在し、それぞれ特徴や利用シーンが異なります。
スクレイピングツールを使用する際の主なメリットは以下の通りです。
- 手動でのデータ収集作業を自動化でき、大量のデータを効率的に収集することが可能
- プログラミングの知識がなくても使用できるツールが多く、GUIベースで直感的な操作が可能
- カスタマイズ性が高く、抽出するデータの種類や形式を柔軟に設定可能
Octoparseを使ったGoogle検索結果の取得手順
Octoparseは、Webスクレイピングを簡単に行うことができるツールです。このツールを使用することで、Google検索結果を含む様々なWebサイトから情報を自動的に抽出し、整理することが可能になります。ここでは、Octoparseを使用したGoogle検索結果の取得手順について説明します。
Octoparseとは
Octoparseは、プログラミングの知識がなくてもWebサイトからデータを抽出できる強力なWebスクレイピングツールです。ユーザーは、Octoparseの直感的なインターフェースを通じて、簡単にスクレイピングタスクを設定し、実行することができます。Octoparseは、データ抽出の自動化により、時間と手間を大幅に節約することを可能にします。
Octoparseテンプレートの操作手順
Octoparseのテンプレート機能を活用することで、誰でもかんたんにGoogle検索のスクレイピングが可能です。ウェブサイトでもアプリケーションでも利用できますので、ぜひ試してみてください。
https://www.octoparse.jp/template/google-search-scraper
1.事前準備:Octoparseをダウンロードし、お使いのOSにインストールします。
2.テンプレートの選択:Octoparseには多数のテンプレートが用意されており、特定のWebサイトやサービスに最適化されています。Google検索結果の取得には、Google検索に特化したテンプレートを選択します。
3.パラメータの設定:スクレイピングする情報の種類や範囲を指定します。例えば、特定のキーワードや地域に関する検索結果を指定することができます。
4.スクレイピングの実行:設定したパラメータに基づいてスクレイピングを開始します。Octoparseは自動的にWebサイトを巡回し、指定された情報を抽出します。
5.データのエクスポート:抽出したデータは、Excel、CSV、HTML、JSONなどの形式でエクスポートすることができます。これにより、データの後処理や分析が容易になります。
Octoparseを使用することで、Google検索結果からの情報収集を効率的に行うことができます。ただし、スクレイピングを行う際には、対象サイトの利用規約やロボット排除基準(robots.txt)を遵守することが重要です。
Google検索をスクレイピングをする際の注意点
Google検索結果のスクレイピングは、多くの情報を効率的に収集する強力な手段ですが、実行する際にはいくつかの重要な注意点があります。これらの注意点を理解し、遵守することで、法的な問題やGoogleからのアクセス禁止などのリスクを避けることができます。
個人情報の保護
スクレイピングによって収集されるデータの中には、個人情報が含まれている場合があります。個人情報の取り扱いには、各国のプライバシー保護法規(例:GDPRやCCPA)を遵守する必要があります。個人情報を収集する場合は、その目的、範囲、保護措置について明確にし、必要な同意を得ることが重要です。
著作権の尊重
Webページの内容は、その作成者や所有者によって著作権で保護されていることが多いです。スクレイピングによって得られたデータを再利用する際には、著作権を侵害しないよう注意が必要です。特に、商用目的でのデータ使用や公開する場合は、著作権者の許可を得るか、著作権法の範囲内での利用に留める必要があります。
アクセス過多への配慮
スクレイピングは自動化されたプロセスによって大量のリクエストを短時間に送信するため、対象のWebサーバーに過度な負荷をかけることがあります。これにより、サービスの品質が低下したり、最悪の場合はサーバーがダウンすることもあります。適切なアクセス間隔を設定し、サーバーへの負荷を最小限に抑えることが重要です。
ロボット排除基準(robots.txt)の遵守
Webサイトの管理者は、robots.txtファイルを通じて、自サイトがクローラーやスクレイピングツールによって訪問されることを許可するかどうかを指定できます。スクレイピングを行う前には、必ずrobots.txtを確認し、許可されていないページやコンテンツへのアクセスを避けることが必要です。
まとめ
Google検索結果のスクレイピングは、適切なツールと方法を用いれば、大量のデータを効率的に収集し、ビジネスや研究に役立てることができます。しかし、このプロセスには法的なリスクや倫理的な問題が伴うため、個人情報の保護、著作権の尊重、アクセス過多への配慮、ロボット排除基準の遵守など、注意すべき点が多くあります。これらのガイドラインを遵守することで、スクレイピングを安全かつ責任を持って行うことができます。