マーケティング戦略、観光客の誘致、製品の品質向上などビッグデータはあらゆる分野で活用されています。顧客の心を掴むために欠かせないビッグデータですが、具体的にどう活用すればいいのかと悩む場合も少なくありません。ビッグデータは活用事例も豊富にありますので、身近な例に触れながら具体的な案を考えるといいでしょう。この記事では、ビッグデータの身近な活用事例を13件ご紹介します。ビッグデータの意味、メリットやデメリットも解説しています。
ビッグデータとはどういう意味?
ビッグデータですが、その名前から大きなデータ群というイメージは容易に想像できると思います。今のところビッグデータの明確な定義はありません。ですが、ビッグデータとは「Volume(量)」「Variety(多様性)」「Velocity(速度)」の3つのVを持つデータと言われています。
・「Volume(量)」
従来のデータより膨大な量である
・「Variety(多様性)」
テキスト、画像、音声、動画などデータの種類に多様性がある
・「Velocity(速度)」
データが生成される速度や更新頻度などが高く、収集・分析にもスピードが必要である
近年では、ビッグデータは上記の3つに加え、次の2つのVも必要だと言われています。
・「Veracity(正確性)」
集めたデータの正確性
・「Value(価値)」
企業にどれだけメリットを与えられかというデータの価値
ビッグデータの種類
ビッグデータは「Variety(多様性)」を持つため、種類も豊富です。ここでは、ビッグデータの種類の一例をご紹介します。
ログデータ
コンピューターが実行した内容を記録したデータで、サーバー上のアクセスログなど
オペレーションデータ
業務データを意味し、販売管理システムを通して収集される取引明細やPOSデータなど
マルチメディアデータ
Web上の写真や動画、音声データなど複数の情報をまとめて統合したデータを意味する
ソーシャルメディアデータ
XやFacebookなどのソーシャルメディアで発生するデータで、プロフィールやコメントなど
ビッグデータのメリット・デメリットは?
次は、ビッグデータのメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット1.高精度の効果検証が行える
ビッグデータは「Velocity(速度)」を持つため、リアルタイムで収集できるデータも多々あります。マーケティング戦略を立案する時点でビッグデータから必要なデータを収集、分析することでマーケティング戦略を実行した際に得られる効果を推定できます。
メリット2.顧客満足度を向上できる
ビッグデータを収集・分析すると、顧客が求めている商品やサービスのニーズを把握したり、ある商品に対する購入理由や不満を確認したりできます。顧客に関するデータから集めた内容をもとに、新しい商品やサービスを開発できるので、顧客満足度の向上に繋がります。
メリット3.マーケティングを効率化できる
消費者の購入パターンやホームページ上で閲覧回数が高い商品などマーケティングに役立つデータをビッグデータから入手できます。マーケティング施策を策定するために必要なデータを既存のデータから集められるため、マーケティングにかかる手間を効率化できます。
デメリット1.費用がかかる
データの量が膨大なビッグデータは管理、収集、分析など、そのデータの取り扱いに費用がかかります。システムやツールによってかかる費用は異なりますが、継続的にかかる場合がほとんどでしょう。
デメリット2.プライバシー侵害の恐れがある
ビッグデータから収集できるデータの中には取り扱いを誤るとプライバシーの侵害に繋がる可能性のあるデータも含まれています。プライバシーの侵害は社会的な企業の信頼を失うことにもなりかねません。
ビッグデータの身近な活用事例は?【13選】
これからは、13件のビッグデータを活用した身近な事例について紹介していきます。
事例1. 小売業界「ローソン」コンビニ内のデータ分析で購入率を高め
ローソンではPOSや会員データを集めて分析する従来の方法に加え、店舗内で顧客がどのように行動したかがわかるインストア分析を活用しています。これによって、購入した商品だけではなく実際に買いたい商品や顧客の行動パターンがわかり、購入率を高めるためのマーケティング施策の策定に利用されています。
事例2. 自治体「神奈川県川崎市」ビッグデータ活用で交通安全を守り、交通渋滞を緩和
神奈川県川崎市では自治体で初めてナビタイムジャパンと連携し、交通安全対策や渋滞対策などを推進しています。具体的には、カーナビアプリから同意したドライバーの走行実績データ(急ブレーキ箇所やある区間における速度など)を収集して分析し、交通安全施設整備や渋滞対策などの計画策定に活用しています。
事例3. EC業界「Amazon」データを生かし顧客体験を高め
かつて、Amazonでは同社が保有するビッグデータを複数のデータベースに分断して保存していたため、部門間でデータを共有できないなどの問題がありました。そこで、多様なデータをまとめて保存できるデータレイクを社内に構築することで、異なる部門に所属していても同一のデータレイクから必要なデータを収集できるようにしています。ビッグデータを容易に活用して顧客体験を高めることに利用しています。
事例4. スポーツ業界「西武ライオンズ」IT戦略でチームを強化
西武ライオンズでは裏方の業務を効率化して情報共有を進めること、最新技術を活用してチームを強化することを目的に2017年にIT戦略室が設立されました。データを戦術面で活用するだけではなく、怪我の兆候の発見や故障を防ぐなどトレーニングや指導にも取り入れられており、IT戦略によるチーム強化は重視されています。
事例5. 医療業界「大阪大学大学院」ビッグデータの活用で医療と健康寿命に関する研究を行う
医療業界においてもビッグデータの重要性は高まっています。大阪大学大学院のクロスイノベーションイニシアティブに日本生命保険が協力し、双方が保有するビッグデータを活用しながら健康増進や健康寿命延伸の研究に取り組んでいます。医学部の基礎教育科目にAI関連の内容を盛り込む案も浮上しており、医療データ分析の価値は高まっています。
事例6. 教育業界「岡山大学」ビッグデータの活用で学習意欲と成績を向上
平成28年、岡山大学は長野県高森町と協力し、eラーニングシステムを初めて社会的に導入しました。一定期間ごとに自主学習意欲に関するアンケートを繰り返し、意欲が不十分な生徒には教師や保護者によるフィードバックを実施します。結果、フィードバックサイクルに比例して自主学習意欲と成績が向上することが判明しています。
事例7. 観光業界「城崎温泉」データ活用で温泉街を活性化
兵庫県北部にある篠崎温泉では携帯電話やスマホのICカード機能を利用して観光客の利用履歴を収集し、行動パターンを分析してイベントや広告宣伝の効果を把握したり、トレンドの変化を可視化したりしています。同分析によって花火など観光客が一定の場所に留まるイベントよりも、灯篭流しなど街を歩くほうがお店の売上が増すことが判明しています。
事例8. 飲食業界「ぐるなび」7万店にもおよぶ掲載店の情報を提供
今まで、個別の飲食店だけでは保有するデータ数が少なくビッグデータを活用できませんでした。しかし、飲食店の情報を掲載する「ぐるなび」によって同社が管理する7万点にもおよぶ掲載店のデータが提供され始め、ビッグデータから消費者の検索状況や飲食店で取り扱うメニューなどのデータを収集できるようになっています。
事例9. 製造業界「HP」ビッグデータを活用して製品の品質を改善
アメリカの電子機器メーカーのHPは、製品の製造中に収集したデータと出荷後のデータを比較して分析し、品質向上に利用しています。データ収集は出荷された製品のパフォーマンスデータを収集するテレメトリーによって行われており、故障の予兆が出た時に修理を提案するサービスの提供にも活用されています。
事例10. 金融業界「Credit Sesami」クレジットスコアを可視化
アメリカ初Fintechのベンチャー企業Credit Sesamiはソーシャルセキュリティーナンバーとユーザーに対するいくつかの質問からクレジットスコアを算出するアプリを提供しています。このクレジットスコアは同社が保有するユーザーデータと与信審査会社クレジットスコアを分析して算出されており、スコアを上げるためのアドバイスを提供するサービスもあります。
事例11. 資生堂は「DMP」を利用【広告成功】
資生堂は、同社が運営するネットサービスのワタシプラスでDMPを構築し、顧客の閲覧履歴をリアルタイムで取得できるようにしています。ワタシプラスには美容に関する内容や製品がそろっており、閲覧履歴を分析することで顧客の関心の高いコンテンツを把握し、マーケティング戦略に活かしたり、顧客満足度の向上に繋げたりします。
※DMPとはData Management Platform(データ・マネジメント・プラットフォーム)の略で、データを管理するために利用するプラットフォームです。
事例12. オリックス生命保険は「DMP」を活用【広告成功】
オリックス生命保険は自社で開発したプライベートDMPを活用して自社サイトに対するアクセスデータと顧客データなど自社で蓄積したデータを一括で管理し、さらにDMP事業者が保有する購入履歴などの情報と組み合わせて広告配信を最適化しています。同社のテレビCMは効果が高い番組を選んで放映されています。
事例13. アトラエは「Green」を運営【広告成功】
アトラエはビッグデータを収集して分析し、活用することで求職者と企業の最適なマッチングをサポートするプラットフォームGreenを運営しています。成功報酬型の料金体系、IT/Web業界をターゲット、ビッグデータなどの技術を活用することで、既存の求人メディアを大きく凌駕する存在となっています。
ビッグデータ活用に役立つデータ収集ツール
ビッグデータを収集して分析する独自のプラットフォームを構築することは容易ではありません。そんな時は、ビッグデータを収集できるツールを利用してみてはいかがでしょうか。
【使いやすい】Octoparseビッグデータ収集ツール
Webブラウザで表示されるサイトから必要なデータを抽出して活用したい時はOctoparseビッグデータ収集ツールを利用すると専門的な操作なしでデータを簡単に収集できます。OctoparseはWebサイト上にある大量の情報から指定したURLに類似するデータだけを抽出するWebスクレイピングに特化したツールで、使用するにあたってコーディングはいりません。
【Octoparse活用事例の一部】
・市場調査に利用する
調査したい市場に関するURLがひとつあれば、Octoparseを使って類似サイトのデータも簡単に集められます。さらに、OctoparseはXやAmazonなどのプラットフォームに対応する複数のテンプレートを提供しており、キーワードを指定してデータを集めることも可能です。
・SEOの最適化に活用する
Octoparseでは検索エンジンの検索結果からトレンドのフレーズやキーワードを効率的に収集できます。入手したフレーズやキーワードをもとに記事の構成を決めたり、既存の記事を更新したりしてSEOを最適化し、上位表示される確率をあげられます。
このように、ビッグデータ収集ツールOctoparseはWeb上から指定した情報を集められるので、以下のような状況を含め、幅広い目的でご利用いただけます。
まとめ
現在、ビッグデータに対する注目は高く、小売業界、観光業界、EC業界など様々な分野でビッグデータの身近な活用事例を見つけられることでしょう。独自のシステムを構築することなくビッグデータを活用する方法をお探しならビッグデータ収集ツールの利用を検討するといいかもしれません。Octoparseはコーディングなく利用できる使いやすいビッグデータ収集ツールです。