YouTubeで、思わずクリックしたくなる海外ブランドの広告を見たことはありませんか?
Instagramで、「こんな商品見たことない!」と気になる投稿を見かけたことは?
TikTokで、同じ商品を紹介するインフルエンサーをよく目にしませんか?
これらはすべて、SNSマーケティングの一環です。
そして特に越境EC(海外向けEC)にとって、SNSをどう活用するかは、売上を左右するほど重要な要素となっています。
総務省のデータによると、日本では70%以上の方がSNSを利用しており、10代〜50代に至っては平均80%を越えていることが分かります。
参考:情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 報告書|総務省
アルティウスリンク社の『購買行動におけるSNS利用動向調査』によると、「20〜30代の8割以上が商品購入前にSNSで評価を確認しており、全体でも6割を超える」と報告されています。
一方で、多くの日本企業や越境ブランドは、「どの国で、どんなトレンドが起きているのか」を把握しきれていません。
つまり――
越境ECにとっての最大の課題は「情報の遅れ」。
逆に言えば、SNS上のリアルなデータを正確に掴める企業ほど、海外市場で勝ちやすいのです。
近年ではこうしたSNSデータを利用して、企業や行政では市場調査やマーケティング活動に利用する動きが注目されています。SNSデータを分析・加工するには、元データを集めなければなりません。しかし、膨大なSNSのデータをどのように集めれば良いのでしょうか?
そこで本記事ではSNSのデータ収集に役立つ、「SNS情報自動収集ツール」を5つ紹介します。企業のマーケティング担当の方はぜひ参考にしてください。
SNS情報を収集して何ができる?
SNSから抽出されたデータは、人間行動に関するダイナミックなデータセットであることに間違いありません。SNSデータはいわば価値の宝庫。社会科学者やビジネスエキスパートにとって、SNS情報を収集することで、社会・組織・個人を理解するための新しい機会をもたらし、データ内に隠されたあらゆる価値を探索できるようになります。
実際にすでに多くの企業やマーケターがSNS情報を活用しています。ロンドンの研究者が発表した[SNS分析:テクニック、ツール、プラットフォームの調査]という論文によると、SNSデータ分析は、自社のブランド認識、顧客サービスの改善、マーケティング戦略、さらには不正行為を検出するために利用していると述べています。
その他にも、ビッグデータ時代においてSNS情報の活用例は次のようなものが挙げられます。
顧客感情測定
SNSの口コミ分析では、単なる「高評価」や「低評価」といった表面的な結果に留まらず、顧客レビュー(口コミ)の収集を通じて、特定のトピックまたは製品に対する「どのように」「なぜ」その評価が生まれたのか、購入背景、期待を測定することで、顧客の感情を深く掘り下げることが可能です。例えば、ある製品について「デザインは良いが、電池の持ち時間に不満がある」という具体的なコメントが、異なるユーザーから複数発見された場合、それは単なる評価に終わらず、具体的な製品改善のヒントに早変わりします。
このように感情分析を導入することで、全体的な顧客満足度と顧客ロイヤルティ(信頼・愛着)を詳細に理解できるだけでなく、ポジティブ・ネガティブな意見の変遷を時系列で追うことができます。これは、実施したマーケティング施策の効果測定、ブランドイメージの監視、そして事業に対する深い洞察を得る上で極めて有効です。
市場細分化
市場細分化(セグメンテーション)とは、類似の特徴や行動パターンを持つ顧客をグループに分類し、各グループに最適なマーケティング施策を展開する手法です。
従来の「30代の男性」といった単純な人口統計学的な分類では、現代の複雑な消費行動を十分に捉えられません。そこで有効なのが、SNSをはじめとするデジタルデータの活用です。SNS上では、ユーザーの興味・関心(投稿内容や「いいね」)、具体的な嗜好(フォローするアカウント)、オンライン上の行動パターン(検索傾向、共有行動)といった生のデータが日々生成されています。
これらのデータを分析することで、「海外のナチュラルコスメにこだわる〇〇在住の女性」のように、従来のデモグラフィック情報を超えた、はるかに具体的で実態に即したセグメントを構築できます
のような細分化が不可欠な根本的理由は、消費行動が人々のライフスタイルの維持や拡張と深く結びついているからです。日常生活を維持するための定期的な購入(リピート)もあれば、家族構成の変化や新しい趣味の開始といったライフスタイルの拡張に伴う新規の購入もあります。したがって、表面的な属性ではなく、背後にある生活様式や価値観に基づいて顧客を理解することが、効果的なマーケティングの鍵となります。
SNSデータを活用した市場細分化を実践することで、広告配信の無駄を大幅に省くとともに、「あなた好みの新商品です」というような、顧客の高い共感を生むパーソナライズドなコミュニケーションが可能になり、マーケティング効果の飛躍的な向上が期待できます。
オンラインモニタリング
オンラインモニタリングは、自社ブランドや著作権などの権利が無断で利用されていないか監視したり、自社の従業員による内部流出、SNSの炎上などの不祥事が発生していないか調査することです。特に越境ECでは、物理的な距離により現地の偽造品流通やブランド誹謗に気づきにくいため、その重要性が高まっています。
具体的には、SNSやWeb上で 「自社商標やロゴの無断使用」「模倣品や偽造品の販売状況」「著作物の無断転載」「ブランド名誉を傷つける噂や虚偽情報」 などを重点的に監視します 。例えば、主要なECプラットフォームやソーシャルメディア上で自社ブランド名や製品名をキーワードに継続的に検索し、正規品と誤認させるような模倣品の出品や、著作権を侵害するコンテンツの拡散をいち早く発見します 。
このような監視により、例えば「消費者が検索エンジンで自社ブランドを検索した際に、模倣品販売サイトに誘導されて不正品を購入する」といった被害を未然に察知し、プラットフォーム運営者への削除要請や、必要に応じて法的手段を講じるなどの迅速な対応が可能になります 。これにより、ブランドの信頼性を守り、顧客が正規品を安心して購入できる環境を維持することにつながります
また、従業員による不適切動画の投稿、内部情報の流出、過激な投稿による炎上など、SNSやWebを起点としたトラブルが増えています。炎上は一気に広がるため、初動の早さが重要です。オンラインモニタリングでは日々のリスク把握などに役立ちます。
市場調査
現代の市場調査は、商品開発やマーケティング戦略の立案に向けて、データを通じて市場状況を正しく把握することを指します。変化のスピードが速い現在において、過去の成功体験や「現場の勘」に依存した施策では、誤った方向に進むリスクが高まっています。そのため、客観的なデータに基づく市場調査は、企業が持続的に成長するために不可欠な基盤となっています。
特に、SNSを活用した市場調査は、従来の手法に比べて 「速さ」 と 「生の声の豊かさ」 において大きな強みを発揮します。SNS上では、消費者が日々、商品への感想、使用シーン、不満や期待などを自然な形で発信しています。例えば、「このコートのデザインは良いが、丈が短すぎる」といった具体的な意見や、特定のハッシュタグの投稿数が急増する現象、インフルエンサー発信後の検索数動向など、多様な生のデータを収集・分析することが可能です。
これらの情報を継続的にキャッチし分析することで、企業は市場の潜在的なニーズを発見し、新たなトレンドの兆候をいち早く察知し、消費者の共感を呼ぶ製品開発やマーケティング施策に活かすことができます。SNS分析は、単なるデータ収集を超えて、消費者の生の声から市場の細かい変化や隠れた傾向を読み解くための強力な手段なのです。
SNS情報自動収集ツールおすすめ5選
SNSデータの活用は商品開発やマーケティング戦略において欠かせないことはお分かりいただけたでしょう。 それでは、実際にSNSデータを効率的に集めるためにはどうしたら良いのでしょうか。近年ではSNS情報を自動で収集できるWebサービスが登場しています。ここでは、おすすめのSNS情報自動収集ツールを5つ紹介します。
Octoparse

Octoparse(オクトパース)は、ソフトウェア型のスクレイピングツールです。プログラミングによるコーディングを一切行わずに複雑なスクレイピングジョブに対応します。
直感的な操作を実現するわかりやすいインターフェースで、実際のWebサイト画面を見ながらスクレイピング対象項目を選択できます。さらにスクレイピングに必要な機能が充実しており、無限スクロール 、ログイン認証、テキスト入力、ドロップダウンメニューからの選択までサポートしています。その他にも、ファイルダウンロード、CAPTCHA解決、プロキシサーバ、正規表現サポートなど、最新機能が詰まったスクレイピングソリューションです。
スクレイピングで抽出したデータは、Excel・JSON・HTML、またはデータベースとしてエクスポートが可能で、その後は自由にデータを加工・編集できます。フリーミアムのサービスなので、フリープラン(無料)から利用が可能です。
SNSデータをスクレイピングする場合は、Octoparseではチュートリアルやスクレイピングテンプレートが豊富に用意されているので、それらを用いれば誰でもかんたんにSNSから大量のデータを抽出できます。
例えば:
https://www.octoparse.jp/template/tiktok-comments-scraper
このテンプレートは動画リンクからTikTokの動画のコメント内容、タイトル、作者、コメント数などをスクレイピングします。
https://www.octoparse.jp/template/twitter-scraper-by-keywords
このテンプレートは、検索キーワードを入力し、任意の期間を設定して、Twitterからツイート内容、リプライ数、リツイート数、いいね数、閲覧数などをスクレイピングできます。
ほかのSNS関連テンプレートもたくさん用意しておりますので、興味のある方はぜひ、テンプレート一覧へ早速試してみてください。ログイン完了後、すぐにテンプレートを試用できます。
参考:無料でTwitter(The X)からデータを抽出する方法3選!

Dexi.io

Dexi.Ioは、開発、ホスティング、およびスケジューリングサービスを提供するクラウドベースのWebスクレイピングツールです。ポイント&クリックで直感的に操作できるユーザーインターフェースを備えているため、データ抽出の設定にプログラミングは必要ありません。
Dexi.Ioには、「Extractor」「Crawler」「Pipes」といった3種類のロボットがあり、それらを活用することで、だれでも簡単にタスクを作成することができます。取得したデータはJSON / CSVデータとして利用可能であり、またReSTを通して外部アプリケーションからアクセスすることも可能です。
OutWit Hub

Outwit Hubは、洗練されたスクラップ機能やデータ構造認識だけでなく、シンプルなGUIも備えています。Outwit HubはFirefoxのアドオンとして始まり、後にダウンロード可能なソフトに変わりました。
OutWit Hubは、プログラミングの知識を持たない方でも、リンク・メールアドレス・RSSニュースおよびデータテーブルから特定のデータをスクレイピングします。抽出したデータは、Excel、CSV、HTMLまたはSQLデータベースにエクスポートできます。
さらにOutwit Hubには、入力したURLのリストからデータを素早くスクレイピングする「Fast Scrape」という優れた機能があります。使い方もシンプルで、簡単な構成のWebサイトスクレイピングに適しています
Zyte

Zyte(旧:Scrapinghub)は、クローラ拡張を可能にするクラウドベースのスクレイピングツールです。Zyteには、「Scrapy Cloud」「Portia」「Crawlera」「Splash」という4つの主要なツールがあります。各ツールを利用することで、世界50カ国のスクレイピングブロックなどの障害を取り除くなど、すべてのユーザーに完全なWebスクレイピングソリューションを提供しています。
Scrapehubは完全なスイート型で提供されるのではなく、提供するツールを個別に選択できるなど、柔軟性が高い強力なスクレイピングプラットフォームです。
Parsehub

Parsehubは、Windows OS、Mac OS、およびLinuxをサポートする、ソフトウェア型のスクレイピングツールです。JavaScriptとAJAXのページからデータを選択し抽出するためのGUIを提供します。直感的に操作できるユーザーインターフェースでは、Webサイトの任意のフィールドをクリックすることで、データを抽出できます。
さらにIPアドレスの変更に役立つIPローテーション機能もあるため、アンチスクレイピング技術を使用しているWebサイトでもスクレイピングが実行できます。
ParseHubでは、特にチュートリアルが充実しているため、初めて使う人でも直感的に操作方法を理解できます。
まとめ
世界中でほとんどの人が何かしらのSNSを活用している現代において、企業やマーケターにとってSNS上のデータ活用は、もはや「あると便利」ではなく「なければ勝てない」必須の戦略となっています。特に越境ECにおいては、物理的な距離がある海外市場の「今」をリアルタイムで把握できるかどうかが、成功と失敗の分かれ目です。
SNS上に存在する顧客の声から深い洞察を得ることで、潜在ニーズの発見や、既存の顧客に新しい価値や体験を提供できるようになります。そのためにあなたがやることはいかに効率的に大量のデータを集め、分析・検証に時間を費やすことです。今回紹介したスクレイピングツールを活用して、ぜひデータドリブンなマーケティング活動を行っていきましょう。
もし「まずは自分でも試してみたい」と思った方は、Octoparseを使ってみるのがおすすめです。
アカウントは30秒で簡単に作成でき、ブラウザ上からテンプレートを選んで実行するだけで、その場でデータを取得できます。
無料で試せるので、ぜひお試しください!
ウェブサイトのデータを、Excel、CSV、Google Sheets、お好みのデータベースに直接変換。
自動検出機能搭載で、プログラミング不要の簡単データ抽出。
人気サイト向けテンプレート完備。クリック数回でデータ取得可能。
IPプロキシと高度なAPIで、ブロック対策も万全。
クラウドサービスで、いつでも好きな時にスクレイピングをスケジュール。



