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APIとは?基本知識から活用法、メリット・デメリットまで徹底解説

約6分で読めます

現代のWebサービス開発では、他のサービスが提供する機能を取り込み、連携させる形でシステムを構築するケースが増えています。こうした連携を可能にするのが、APIと呼ばれる仕組みです。

すべてを自前で開発するのではなく、既存のAPIを活用することで、効率的かつ高品質なシステムを構築できます。しかし、APIには複数の種類や設計方針があるため、正しい知識がないまま使うと非効率な実装につながるおそれもあります。

そこで本記事では、APIの基本から種類や仕組み、活用事例まで詳しく解説します。

APIとは

APIとは「アプリケーション・プログラミング・インターフェース(Application Programming Interface)」の略称で、異なるソフトウェアやプログラムがデータや機能を共有するためのインターフェースです。

APIを利用することで、異なるアプリケーション同士が互いに通信し、データをやり取りすることが可能になります。例えば、ECサイトのログイン時に「Googleアカウントでサインイン」と表示される機能や、Webページ内に地図情報を埋め込んで店舗の場所を表示する機能は、いずれもAPIを通じて外部サービスと連携しています。

APIには利用される環境や目的に応じてさまざまな種類があります。次の章では、APIの種類と特徴について見ていきましょう。

APIの種類と特徴

APIは、その実行環境によって、いくつかの種類に分類されます。どのAPIを選ぶかによって、システムの設計や拡張性に大きな影響が出ることもあります。
例えば、Webサービス同士を連携させたい場合はWeb APIが適しており、OSやデバイスの操作にはネイティブAPIが必要です。
以下に、代表的な3つのAPIについて、それぞれの用途と特徴をまとめました。

種類用途特徴
Web APIブラウザやWebアプリとの通信HTTP経由で通信。公開性が高く、汎用性がある
ネイティブAPIOSやデバイスの制御WindowsやAndroidなど、特定の環境でしか使えないが操作範囲が広い
ランタイムAPIプログラムの実行中の機能呼び出し実行中に処理内容を切り替えられる

それでは次に、各APIの種類について詳しく見ていきましょう。

WebAPI

WebAPIは、インターネットを通じて外部サービスと連携するためのAPIです。多くのWebAPIはHTTP通信を通じてアクセスでき、GETやPOSTなどのリクエストに対してJSON形式などでデータを返します。例えば、天気予報やSNSの投稿データを取得するAPIなどが一般的です。

WebAPIの最大のメリットは、ネット上で公開・提供されていることが多く、ドキュメントも整備されているため、比較的導入しやすい点にあります。一方で、アクセス制限や利用回数制限が設けられている場合もあるため、使用前に仕様をよく確認する必要があります。

身近なWeb APIの例として、以下が挙げられます。

  • Google Maps API
    Googleが提供するGoogle Maps APIを利用すれば、Google Mapの機能を組み込めます。
  • Instagram Graph API
    Instagram(並びにFacebook)が提供するGraph APIを利用すれば、SNS上からユーザーデータやフォロワー数、投稿コンテンツなどを取得できます。

ネイティブAPI

ネイティブAPIは、OSやデバイスを操作する際に利用するAPIです。
例えば、ファイル操作、カメラやGPSの制御、通知の表示などは、ネイティブAPIを通じて制御しています。プラットフォームに依存するため、汎用性は低いものの、その分細かい制御が可能です。
OSそれぞれに以下のようなAPIが提供されています。

  • Android API
    Androidアプリ開発において、カメラやセンサー、ファイルアクセスなどの機能を操作できます。
  • Windows API
    Windows上で動作するアプリから、ファイルシステムやウィンドウ操作、デバイス制御が可能です。
  • Core Location API
    iPhoneアプリからGPS情報を取得し、現在地をリアルタイムで取得・活用できます。

ランタイムAPI

ランタイムAPIは、プログラムの実行中に特定動作の変更を行うAPIです。プログラムのビルド時には存在しない処理を、実行時に追加・変更することができます。

このようなAPIは、フレームワークや仮想環境、スクリプト言語の実行基盤と関係しており、内部で高度な動的処理が求められる場面で利用されます。例えば、Javaや.NETなどの言語では、ランタイムAPIを用いてクラスの動的生成やメソッドの呼び出し制御を行うことが可能です。

  • Java Reflection API
    Javaプログラム内でクラスの構造を動的に取得・変更できます。
  • .NET Runtime API
    C#などで実行中にアセンブリを読み込んだり、コードを動的に生成できます。

Web APIの代表的な設計方式

APIには、Google Maps APIやYouTube APIなどさまざまな種類がありますが、それぞれの構造や設計方針がすべて共通しているわけではありません。中でもWeb APIは、サービス間で通信を行う前提で設計されているため、リクエストやレスポンスなど、通信方式の設計が重要になります。

一方、ネイティブAPIやランタイムAPIは、主にローカル環境や実行基盤の内部で完結する仕組みであり、Web APIのような通信設計を意識する必要は基本的にありません。

ここからは、Web APIに焦点を当て、代表的な設計方式であるREST、GraphQL、SOAPについて、それぞれの特徴を解説します。

RESTful API

RESTful API(Representational State Transfer)は、Web APIの設計方式として最も広く採用されている手法の一つです。HTTPの仕組みを活用し、シンプルで直感的な構成が可能になる点が特徴です。

データを「リソース(統一資源識別子)」として扱い、それぞれに対してGET・POST・PUT・DELETEなどのHTTPメソッドを使って操作します。例えば、ECサイトで商品情報を取得する場合は、GET /products のようにアクセスします。

この設計方式は、分かりやすい構造と実装のしやすさから、Webサービス間の連携や社内向けAPIの構築など、幅広い場面で活用されています。一方で、自由度が高いため、設計ルールが曖昧になるとメンテナンス性が下がる恐れがある点には注意が必要です。

SOAP API

SOAP API(Simple Object Access Protocol)は、XML形式を用いて通信を行うWeb APIの設計方式で、セキュリティや信頼性の高さが特徴です。主に金融・公共系システムなど、堅牢性やセキュリティが重視される場面で利用されてきました。

RESTと異なり、SOAPはリクエストやレスポンスの構造があらかじめ定義されており、通信時にはWSDL(Web Services Description Language)による明確な仕様書が存在します。これにより、送受信するデータ形式の誤差が少なく、システム間での信頼性が担保されやすくなります。

一方で、XMLの記述が冗長であることや、セットアップに手間がかかる点など、開発効率やパフォーマンスの面ではRESTに劣る場面もあります。

GraphQL API

GraphQLは、クエリ言語を利用してクライアント側が必要とするデータだけを柔軟に取得できるWeb APIの設計方式です。

GraphQLでは、1つのエンドポイントに対してクエリを発行し、取得したい項目だけを明示的に指定できます。これにより、REST APIで発生する「複数リクエストの発生」や「不要なデータの受信」を回避し、通信量を最小限に抑えることが可能です。モバイルアプリやフロントエンドの開発で利用されます。

APIのメリット&デメリット

APIを使うことで得られる利点は多くありますが、導入や運用には注意点もあります。
ここでは、APIを利用する際のメリット・デメリットを解説します。

APIのメリット

APIを活用することで、開発効率から事業連携まで、幅広い領域で利点が得られます。

  • 開発効率の向上
    APIを利用することで、既存の機能を再利用することができ、ゼロから開発する必要がなくなります。これにより、開発時間とコストを大幅に削減することができます。例えば、支払い処理やユーザー認証などの一般的な機能は、多くのAPIにて提供されており、自社で一から開発するよりも効率的に導入できます。
  • 機能の拡張性
    APIを導入しておくことで、サービスローンチ後も外部システムと連携しながら機能を柔軟に拡張できます。例えば、当初はメール通知機能しかなかったサービスに、後からチャットボットAPIを追加してLINEやSlack連携を実装する、といった拡張が可能です。
  • リアルタイムなデータ活用
    APIを通じて外部から最新の情報を取得できるため、常にリアルタイムのデータをサービス上で活用できます。例えば、為替レート、在庫数、交通情報など、リアルタイムに変化する情報を自動的に取得し、ユーザーに最新の状態を提示できます。

APIのデメリット

次に、デメリットと、それに伴う注意点を解説します。

  • セキュリティリスク
    APIは外部との通信を前提としているため、適切な認証や暗号化が施されていないAPIを使用すると、データ漏洩や不正アクセスのリスクが高まります。加えて、APIの呼び出し回数や送信データに制限がない場合、DoS攻撃の入口となる可能性もあります。
  • 外部依存による影響リスク
    提供者側のAPIがメンテナンスやバージョン変更により仕様を変更した場合、それに即座に対応しなければ自社システムが正常に動作しなくなるリスクがあります。
  • パフォーマンス
    APIの応答時間が遅い場合や、リクエスト数が多すぎる場合、システムのパフォーマンスが低下する可能性があります。
  • コスト
    外部APIを利用する場合、利用量によって高額なコストが発生します。例えば、X(旧Twitter)APIでは、データ収集や投稿の自動化を行うには有料プラン(月額100ドル以上)への加入が必要です。

APIの活用事例

APIは、サービス間のデータ連携を可能にする仕組みとして、さまざまな分野で活用されています。最後に、代表的なAPIの具体的な役割と機能について紹介します。

SNS

企業やマーケターにとって、SNS関連のAPIはユーザー動向の把握やプロモーション施策の実行に不可欠なツールとなっています。

例えば、X APIでは、指定キーワードを含む投稿の収集や、自動ポストが可能です。他にもinstagramのGraph APIでは、フォロワー数の推移や投稿ごとのエンゲージメント情報を取得でき、インフルエンサー分析や効果測定に役立ちます。

これらのAPIは、単なるデータ取得にとどまらず、外部ツールや社内システムと連携させることで、SNS運用の自動化や高度な分析の基盤としても活用できます。

関連記事:マーケティングでも使える!SNS情報自動収集ツール5選

決済システム

外部の決済サービスと連携することで、自社で複雑な金融処理を実装することなく、安全かつ効率的な決済機能を導入できます。

例えば、StripeのAPIでは、決済処理に加えて返金処理や定期課金、領収書の自動発行まで一貫して行えます。他にも、PayPalでは、購入ボタンの生成から決済完了後の通知までをプログラムで制御可能です。
これらのAPIを使うことで、ユーザーの利便性向上に加え、決済処理の信頼性・拡張性を確保しつつ、導入・運用コストを抑えることが可能になります。

AI・機械学習

AIや機械学習モデルをAPI経由で利用することで、従来は専門知識を要した複雑な分析や予測処理を、シンプルな実装で実現できるようになります。

例えば、Google Cloud Vision APIでは、画像から文字や物体を自動的に検出・分類できます。Amazon Rekognitionは、顔認識や動画解析に対応しており、セキュリティ管理や広告配信などで実績があります。
このようなAI APIは、業務の自動化やUXの強化を促進し、マーケティング、医療、教育、カスタマーサポートなど幅広い分野で急速に普及しています。

関連記事:YouTubeコメントをスクレイピングで自動取得する方法

スクレイピング

業務で外部データを活用する場合、スクレイピングAPIを活用すると効果的にデータ収集が可能となります。従来のスクレイピングツールは、単体で動かす用途が中心でしたが、スクレイピングAPIを利用することで、情報の取得とその後の処理を他システムに組み込む形で自動化できます。

例えば、商品価格の収集APIを在庫管理システムと連携すれば、競合価格に応じた価格調整や通知処理が可能になります。あるいは、ニュース記事や求人情報の収集結果を、社内のBIツールやダッシュボードにリアルタイムで反映させることも実現できます。

本記事を公開しているOctoparseも、GUIでのスクレイピングだけでなく、取得データを外部システムと連携するためのOpen APIを提供しています。Open APIを活用することで、収集したデータの定期取得や、他の業務アプリケーションと組み合わせた自動処理が可能となります。

まとめ

APIはシステム間の連携や自動化を実現する手段として、多くの業務領域で活用されています。設計方式や種類の違いを理解したうえで、自社の要件に合ったAPIを選定しましょう。

一方で、セキュリティやコスト、外部依存といったリスクも伴うため、運用体制に注意が必要です。

APIに関する技術動向やサービス仕様は常に変化しており、一度選んだAPIも見直しや再評価が必要になる場面があります。自社の要件や運用体制に合わせて、必要な情報を常にキャッチアップし、柔軟に対応できる設計と運用を目指しましょう。

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