簡単にWebスクレイピングする方法

Webスクレイピングは、インターネット上のデータ収集やリスト作成の自動化などに役立つ便利な技術です。

しかし、スクレイピングに興味はあるものの、プログラミングに関する専門知識やスキルを持たない方からすれば、難易度が高いと感じてしまい学習を諦めてしまう方も多いでしょう。

そこで今回は、プログラミングの知識・経験がない方でも、Webスクレイピングを簡単に実行できる方法を紹介します。

なぜWebスクレイピングは難しい?

 そもそも、なぜWebスクレイピングは難しいと言われるのでしょうか。ここでは、Webスクレイピングが難しいとされる理由を5つ解説します。

コーディングは全ての人に向いていない

初心者がプログラミング学習を行い、Webスクレイピングを自力で実行できるようになるには、それなりの学習時間・労力が必要です。コードは全て英語ですし、それぞれの意味を理解してコーディングを行うことは容易ではありません。

近年ではプログラミングスクールなどの学習環境も整ってきましたが、そもそもプログラミングに対して興味・知的好奇心を持っている方でなければ、学習を続けること自体が困難に感じるでしょう。

全てのWebサイトが同じではない

Webサイトはいつも変化するため、その都度Webスクレイパー(スクレイピングロボット)をメンテナンスするには時間と手間がかかります。

普通のHTMLコンテンツをスクレイピングすること自体はさほど難しくありませんが、実際にはそれ以上に複雑な仕様が施されているWebサイトが多く存在します。例えば、PDF、CSV、Excelなどからスクレイピングを行うには、その都度メンテナンスが必要です。

Webページの構造が複雑

人気のWebサイトの多くは、HTML/CSSだけでなくJavaScriptやAJAXといった複雑なプログラムによって構築されているため、スクレイピングがとても難しいです。

その他にも、ログインを必要とするサイトや、フォームの裏側で動的にデータが変更されるサイトは、Webスクレイパーにとって複雑な処理が求められるため、それに対応した設定を施す必要があります。

スクレイピングの防止対策

企業によってはWebスクレイピングを防止するために対策を講じているケースが少なくありません。それらのサイトにスクレイピングボットとして検出されてしまえば、アクセスをブロックされる可能性があります。

防止対策の例でいえば、CAPTCHAや特定のIPアドレスのブロックなどが挙げられます。これらのスクレイピング防止対策を無効にするためには、IPアドレスの変更やプロキシの切り替えなどが用いられます。

スクレイピング防止対策は日々進化しているため、それらの対策を理解した上で適切に対処していくことは、時間と労力が掛かります。

スーパーサーバーが必要

少数ページをスクレイピングすることと、数百万にも及ぶ大規模のページをスクレイピングすることは、まったく異なります。

大規模なスクレイピングには、I/Oメカニズム、分散クローリング、通信、タスクスケジューリング、重複チェックなどのスケーラブルなシステムが必要であり、その負荷に耐えるために、スーパーサーバーを用意しなければなりません。そもそもスーパーサーバーを設定するには、専門知識が必要なので初心者には難易度が高いといえるでしょう。

Webスクレイピングツールの仕組みは?

Webスクレイピングツールのほとんどは、WebページのHTML構造を解読することによって動作します。ポイント&クリック操作で、スクレイピングツールに必要な情報を伝えることによって、スクレイピングツールはさまざまなアルゴリズムを使って、取得すべきデータを予測します。

例えば、テキストデータ、数値、URLなどが挙げられます。ユーザーはそれらの予測データの中から必要な情報を自動で取得できます。

Webスクレイピングツールの使用を検討すべき場面とは

Webスクレイピングを自力で行うことは容易ではありません。プログラミングにある程度・知識経験がある方でも、効率を考えればツールを使う方が良い場合もあります。

特に、以下のいずれかの状況がある場合は、Webスクレイピングツールを導入してみてください。

  1. プログラミングに関する知識・経験がない(学習する時間もない)
  2. スクレイピングに使える時間や予算が限られている
  3. 多くのWebサイトからスクレイピングする必要がある
  4. チーム内で一貫した方法でスクレイピングを行いたい

ただし、Webスクレイピングツールはサービスによって、機能や操作性が異なります。そのため、目的や用途に合わせて適切なツールを選ぶようにしましょう。どういったツールがあるか知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

簡単に扱えるWebスクレイピングツール4選

世の中のIT技術は日々進歩しており、Webスクレイピングツールもユーザーの使い勝手や利便性を追求するために、バージョンアップを繰り返しています。ここでは、簡単に扱えるWebスクレイピングツールを4つ紹介します。

1.Octoparse

WebスクレイピングツールのOctoparse(オクトパス)は、クラウドベースで扱えるソフトウェアです。Octoparseでは、あらかじめ作成されたテンプレートを使ってスクレイピングできる「テンプレートモード」が導入されています。このテンプレートは、Amazon、Indeed、楽天、食べログ、Twitter、YouTubeなど多くの人気サイトをカバーしています。

ユーザーは好きなテンプレートを選んで、キーワードや位置などの変数を入力するだけで、後はスクレイパーがサイトからデータを自動収集します。Octoparseでは、常に新しいテンプレートを追加しています。

 

2.Mozeda

「Mozenda」は、任意のWebページから様々なデータを簡単に抽出できるWebスクレイピングツールです。オンライン上のあらゆるソースから非構造化データを取得し、ユーザーがインサイト(洞察)を得る上で活用できる形にフォーマット化します。

さらに、データクレンジングやデータ整理サービスも提供してるので、Mozendaひとつで情報収集からデータアナリストの役割まで担います。

3.Dexi.io

Dexi.ioは、最先端のオートメーション機能とインテリジェントなマイニング技術を駆使したWebスクレイピングツールです。UI(ユーザーインターフェース)も優れており、滑らかで動的な画面にも対応しているのが特徴です。

操作・設定画面は全体を通して英語表記ですが、直感的に扱える部分も多いため、マニュアルを読まなくても扱いやすいので、初心者にもおすすめです。さらにDexi.ioでは、CAPTCHA、フォーム入力、正規表現サポートなど、最新のWebスクレイピング機能をほぼ網羅しています。

 4.Import.io

「Import.io」は、複数のURLクエリを処理する特別なクロールサービスが組み込まれた、Webデータプラットフォームです。動的な速度制限を利用し、スクレイピングエラーや制限を処理するための再試行システムを備えています。

また、抽出したデータからインサイト(洞察)を得るためにマーケティング分析ツールとの統合が可能です。

Webスクレイピングの活用事例

Webスクレイピングを行えば次のような業務な場面で活用でき、今まで手作業で行っていた作業時間を大幅に短縮することができます。

用途

対象サイト例

不動産情報を収集する

SUUMO、LIFULL HOME'S

メールアドレスや電話番号などを収集する

Yelp、Yellowpage、iタウンページ

競争分析のための製品情報を収集する

Amazon、楽天、eBay

感情分析とブランド管理のための製品レビューを収集する

Amazon、楽天

社会的な言及を識別するためのSNS上の反応を収集する

Youtube、Twitter、Tiktok

さまざまな研究トピックのデータを収集する

論文サイト

ホテルや航空券などの情報を収集する

Booking, Airbnb

求人サイトから仕事情報を収集する

Indeed、リクナビNEXT

イベントスケジュールを収集する

ローチケ、ウオーカープラス

活用事例について詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

【活用事例】Webスクレイピングでビジネスを成長させる方法30選

まとめ|将来性の高いWebスクレイピングを使いこなそう

世の中では日々どれくらいのデータが生成されているかご存知でしょうか。現在では1日2.5エクサのデータが作成されています。そして、その90%以上のデータが過去2年間に作成されました。データ量が加速度的に増加したことで、大量のデータをいかに素早く収集して分析し、意思決定に結びつけることの重要性が高まっています。

データ活用時代において、Webスクレイピングはますます注目が高まっています。今まで手作業で行っていた仕事を、よりスマートで簡単にして、人間はよりユーザーが喜ぶサービスや商品の開発に力を注ぐべきです。

Webスクレイピング技術も、今やツールを使えば誰でも簡単に扱えるようになりましたので、ぜひ将来のためにも今のうちから使いこなせる状態を目指しましょう。